デモ参加の手引き
〜一人一人にとって有意義な場を作るために〜
- デモは、安全第一で行います。早く動く人ではなく、ゆっくり動く人に合わせて進みます。もし警官に急かされても、焦って走ったりしないでください。
- 長い旗竿などを持つ方は、先端が周りの人や物、バスなどにぶつからないよう、特に気をつけてください。
- 無断で人の顔写真を撮らないでください。写真撮影や、写真をSNSにあげることについては、撮られる人の許可がはっきりあった場合だけにしてください。
ただし、「自分たちの存在を社会に対して公然と示す」ということがデモの目的です。公道でのデモでは、誰かに写真を撮られる可能性を完全になくすことはできません。顔バレ身バレが心配な方は、お面やマスクなどで自衛されるか、歩道を並行して歩くなどの参加方法もご検討ください。 - デモに反対する人が沿道から嫌がらせや挑発をしてきた時に、暴力的に反応してしまうと、嫌がらせをする人の思うつぼです。無視できるのなら無視しましょう。
- 自分の安全を最優先にしてください。デモの間に身体的、精神的な不調を感じたら、いったん離れて休むこともできます。しんどい時には周りの人に伝えて助けてもらいましょう。参加者同士で助け合える、そんなデモにしましょう。
- デモには、ご自身の思いを書いたプラカードなどを持ち込むことが出来ます。
表現内容について他の参加者から意見・批判があった場合には、ご自身の責任で対応してください。こういった意見交換を行っていく事も含めて「デモへの参加」になります。 - デモの反省会を、3/18(土) 13時~18時に東山いきいきセンター301号室で行います。どなたでもご参加いただけます。
このデモは、「一つの課題(シングルイシュー)だけを優先的に扱う」というやり方とは異なるやり方のデモです。「複数の課題を、同時に大切なこととして扱う」というやり方をしています。ですので、ほとんどの人は、「ある側面では少数派(マイノリティ)、でも、ある側面では多数派(マジョリティ)」ということになります。
多数派の、無自覚な/悪意のない/いつも通りの/何気ない一言によって、どれくらい「私たち」はガッカリしてきたことでしょう。そしてでは、私たちの一人一人は、自身が多数派側になる課題についてどれくらい正確な知識を持ち、考えて、毎日行動することができているでしょうか。
差別や暴力について開き直る態度は、もちろん間違っています。しかしその一方で、全ての差別についてあらかじめちゃんと考えて、完全に正しく行動するということは、実は不可能です。誰でも、意図せず差別や暴力にあたる言動をしてしまう可能性があります。
何か一つ間違いをおかしたからといって、直ちに排除したり関係を切ってしまっていては、場は成立しません。失敗したり間違えたり、怒られて考え直してみたり。不十分ながらも試行錯誤する存在として人間を捉えること、試行錯誤が可能な場を作ることもまた、私たち一人一人が学び成長していくためには必要なことです。「複数の課題を同時に扱う」ということは、そういうことです。
だからこそ、現場で出される予期せぬ異議申し立てや違和感の表明、一見突飛にも思える意見などについても、可能な限り丁寧に受け止めて検討し、対応することが重要だと私たち実行委員会は考えています。また逆に言うと、一人一人が自身の思っていることや感じたことを、それが場の雰囲気を壊すと思われる場合でも、自由に表明する権利はとても大切だと考えています。
とはいえ、いくら何でも、あらゆる事について一から話し合うのは無理ですし、何度も一から説明することを強いられるのは、少数派にとっては負担でもあります。私たち実行委員会の内部でも、全ての意見が一致している訳ではありません。しかしこれくらいのことは前提として共有しよう、と実行委員会で合意できたことを、以下に書いておきます。ビラの裏面の「趣旨文」と併せて、ぜひご確認ください。
【性別・性的指向】
- 外見や表面的な言動で人の性別を決めつけるのはやめましょう。その人がどういう性別で扱われたいのかは、本人に直接確認しない限りわかりません。ですので、その確認ができていない人を勝手に「女」や「男」として扱わないでください。
- 例えば名前を知らない人を呼ぶ場合、「彼」「彼女」「あの女の子」「あの男の人」などではなく、「あのスカートをはいている人」「黄色のカバンを持っている人」などと言えます。「くん/さん」の使い分けも避けましょう。すべて「さん」づけにすれば解決します。
- 性別は「女」「男」だけではありません。「女」や「男」として扱われることを望む人もいれば、望まない人もいます。「男」でなければ「女」、「女」でなければ「男」、という訳ではありません。
- 性的指向は、「同性愛」「異性愛」だけではありません。
- 性的な欲求自体を持たない人もいます。全ての人が恋愛やセックスをしたがったり、パートナーをほしがったりする訳ではありません。
- 性別や性的指向、身体の状態など性に関わる事項の多くは、プライバシー情報です。誰かに尋ねられても、答える義務はありません。また、答えない相手にしつこく尋ねることは、加害行為になり得ます。
【民族・国籍】
- デモには「日本人」や「国民」に含まれない人、含まれたくない人も参加しています。「国民なめるな!」「国民の声を聞け」「私たち日本人は……」などの言い方は、そういう人の排除となりますので、おやめください。「国民」は多くの場合、「市民」「住民」「人々」などの言葉で言いかえられます。
- 外見や表面的な言動では、その人の国籍や民族的アイデンティティはわかりません。「○○人らしさ」のようなステレオタイプがありますが、実際は人によって様々です。「○○人だから△△に違いない」「△△だから○○人ではないか」のような思い込みを押しつけないようにしましょう。
- デモでは「在日朝鮮人」の用語を使いますが、他にも「在日韓国人」「在日韓国・朝鮮人」「在日コリアン」など様々な名乗りをする当事者がいます。同様に、「ダブル」「ミックスルーツ」「ハーフ」「混血」など、様々な用語を使う当事者がいます。「私たち」の内部の一人一人の選択の違いを認め、一人一人のあり方を尊重しましょう。
- 国籍や民族的アイデンティティも、プライバシー情報です。誰かに尋ねられても、答える義務はありません。また、答えない相手に対してしつこく尋ねることは、加害行為になり得ます。
- ナショナリズムを煽るもの、国旗や日の丸の、デモや集会への持ち込みはお断りします。
【健全者中心主義】
- 全ての人が音声日本語を使う訳ではありません。手話を第一言語として使う人もいます。手話ができない聴者でも、スマホや筆談で、ろう者や聴覚障害者と直に自分でコミュニケーションできます。(集会では手話通訳者にも来ていただいていますので、依頼時間内であれば、手話通訳をお願いすることもできます)
- 車椅子を使う人だけでなく、外見だけでは分からない様々な身体の状態の人がいます。デモは、できるだけ多くの人が参加しやすいように、急がずゆっくり歩くようにしましょう。
【受動喫煙】
- 受動喫煙により、体調を大きく崩しかねない人もいます。タバコを吸われる方は、誰かに受動喫煙をさせてしまわないようにご注意ください。喫煙後の残り香にもご注意ください。(デモコースは、「京都市路上喫煙等の禁止等に関する条例」では、路上喫煙等禁止区域に指定されています。)
【ハラスメント】
- 警官、デモ参加者、沿道の人などから、不適切または不快なことをされたら、可能であればその場で実行委員会にお知らせください。その場でできることには限りがありますが、例えば一緒に抗議したり、現場に立ち会うことができます。また誰でも、デモ直後の感想交流会で発言し問題提起することもできます。3/18の反省会に出席して発言することもできます。
- 実行委員会や実行委員の言動が不適切だと考えられた場合も、遠慮なくご意見をお伝えください。デモの現場での応答には限界がありますが、3/18の反省会ではじっくりと話し合うことができると思いますので、是非ご参加ください。