トランスジェンダー、ノンバイナリー、在日朝鮮人、入管被収容者、非正規滞在者、障害者、セックスワーカー、野宿者、女性、周縁化された様々な人々への、暴力と差別をやめろ!

趣旨文

 私たちは、トランスジェンダーの人々の権利をはっきりと訴えるために、京都でトランスデモをやります。差別と抑圧をやめさせるために社会構造を変えることを目指します。トランスジェンダーの人たちへの差別と偏見に満ちた言説がTwitter上などで横行していることが最近しばしば話題になりますが、差別は最近急にはじまった訳でもなく、Twitterのなかの世界だけで起こっている訳でもありません。差別と抑圧は現実社会の仕組みのなかに埋め込まれていて、日常のなかで当事者たちの生活を脅かし、権利の剥奪につながっています。このような社会のあり方を変えるためにこそ、私たちは訴えていきます。私たちはマジョリテイに「受け入れて欲しい」「分かって欲しい」と承認を求めるのではなく、差別と抑圧を生み出す社会の仕組みと、それらが放置されている不正義への怒りの声を上げ、差別構造のなかで特権を得ているマジョリティの側の変容を要求します。変わるべきは社会であり、マジョリティです。

 セクシュアルマイノリティの場では、トランスジェンダーの権利を積極的に訴えてきた歴史もあります。しかし残念ながら、必ずしも全ての場所でトランスジェンダーの権利が充分に尊重されてきた訳でもありません。日本社会では、さまざまな人々が不可視化されていますが、セクマイの場も例外ではありません。この状況を変えていくのであれば、まず私たち自身の運動を、シングルイシューのものにしないように、自分たち自身が取り組むべきです。同性婚推進ばかりが課題とされやすいセクマイの主流運動で軽視される女性差別と男性特権、バイセクシュアルやパンセクシュアルを周縁化するモノセクシュアル中心主義、アセクシュアルを周縁化する性愛主義、アロマンティックを周縁化する恋愛至上主義を、私たちは問わねばなりません。また、渋谷区のように野宿者排除を行いつつダイバーシティを掲げている自治体に見られる、「セクマイフレンドリーであること」をアピールすることで他の差別と暴力を隠蔽しようとする動きにも、私たちは抵抗しなければなりません。

 当然のことながら、不可視化されているのは、性に関するものだけではありません。天皇の名のもとによる日本帝国主義の朝鮮への侵略と植民地化、及び加害責任が、日本では敗戦後もきちんと清算されずに来ています。加えて、それを背景とした朝鮮敵視政策によって煽られる在日朝鮮人への差別が、外国籍の人々・ダブルやミックスルーツ・外国にルーツのある人々への差別、入管被収容者への虐待にも、繋がっています。日本における民族差別や人種差別、そして植民地主義を中心的な形で目立つように問うことで、運動を日本人だけのものにしないことは不可欠です。
 「本土防衛のための捨て石作戦」では、多くの沖縄の人々が殺され奪われました。そのことへの反省もないまま、今も沖縄には米軍基地が押し付けられ、琉球弧の軍事要塞化と戦争準備が日本政府によって進められ、日本国内の多くの人の無関心がそれを支えています。排外主義が政府主導で煽られ、閣議決定のみで「安保3文書」が作られ、敵基地攻撃能力保有と軍事費倍増が推進されようとしている現在の日本の状況を鑑みると、なおのこと、運動のなかでの排外主義や日本人中心主義をも問う必要があります。

 また、私たちは健全者中心主義に抗して、障害者の権利を訴えることも欠かせないことと考えます。トランスジェンダーの人々の生活を脅かし、権利を奪っている社会の仕組みとして家父長制というものがあります。家族のなかで父親が長であり、男子がその跡取りとされ、健全な子孫を残すのが女性の役割であるとされる家父長制のもとで、ジェンダー規範と同時に優生思想も再生産されています。私たちが家父長制という仕組みに抵抗し、これをなくしていくのであれば、優生思想を問うことも不可欠なはずです。何より、私たちの日常のなかにさまざまな障害者も健全者もすでに暮らしており、それはセクシュアルマイノリティの運動の場でも同じです。しかし現実には、車椅子では行きにくい場所で会議やイベントが開かれたり、手話通訳などの情報保障がなかったり、精神障害への理解がなかったり、定型発達が自明のこととされたり、ということも起きています。運動の場から健全者中心主義を問いましょう。

 トランスジェンダー差別を許さないためには、フェミニズムは不可欠です。フェミニズムとはシスジェンダーだけのものでも、日本人だけのものでも、健全者だけのものでもありません。学者のためのものでもありません。家父長制と男性特権を問い、女性差別的な社会のあり方の変容を目指すと同時に、性別二元主義、シス特権、異性愛主義、性愛主義、恋愛至上主義、セックスワーカー差別、天皇制、帝国主義、植民地主義、優生思想、能力主義、学者の権威主義に、私たちは抵抗していきます。

 なお、私たちの運動の作り方としては、デモを呼びかけた発起人がものを決めるのではなく、誰もが参加可能でかつ対等な関係のなかで、ゼロから物事を決めていくことを目指します。既存の場のあり方が誰かを排除していたり、トラブルが起きれば、柔軟に対応して場をより公平にしていくことを目指します。

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